周囲をしきりに見て犯人には焦りが見えました。
私の取った行動は犯人は予期しなかった事だったのでしょう。
ナイフを私に押し当てていたのかもしれませんが、私は目をつぶって叫び続けたのですから。
そして・・・犯人は私の叫び声に押しつぶされるように、路地に逃げて行きました。
犯人が去った後、私はボーっとその後立ちつくしていました。
その時です。すぐ横の家の窓が「ガラカラッ！」と開いたのです。
「うるさいわよ！何してんのよ！」おばさんが怒鳴っている声がしました。
怒鳴られているのにも関わらず、私は安堵感で一杯でした。
「あの、今、わたし・・・襲われて・・それで・・・」とその場に泣き崩れました。
「と、とにかく、入りなさい！家に入りなさい！」と、おばさんは私を家の中に
入れてくれました。
玄関で私は震えながらずっと泣いていました。
「なんてことなの！こんな家の目の前で若い子が襲われるなんて！」とおばさんは怒っていました。
そしてその家の家族全員が玄関に出て来ました。
その家のご主人がまず警察に電話をしてくれました。
娘さんは私の背中をずっとさすってくれました。「もう大丈夫ですよ。警察も来てくれます。」
何分後かに警察が来ました。
私は外に出て、その場で起きた事を話しました。警察は泣いていても関係無いみたいでした。
とにかくその場の現状をいち早く把握する事が大切みたいでした。
現場検証が終了しても私を家に帰そうとはしませんでした。
パトカーに乗ってそのまま警察署へ・・・
警察署に到着すると、一斉に刑事さん達が私を見ました。その目が恐かった。
でもビックリした顔をしている人もいる・・・なんで？
狭い事務所のストーブの側らに座らされて事情聴取。ワープロに刑事さんは打ち込んでいきました。
細かく、何をされたのか、触られた所は何処か等。
そして告訴状を直筆で書くように言われました。
言われるがままに書き、拇印をしました。
そこまで終わった時、「その傷、治療した方がいいんじゃないの？」って言われました。
「え？傷？」私は何を言っているのか良く分かりませんでした。傷なんて何処にもないのに。
手が汚れていたので化粧室を借りました。
手を洗い、鏡をのぞいた時に目の前に見えたのは・・・「え？うそ？何？」
そこには・・・傷だらけの私の顔があったのです。
くっきりと、軍手をしていたけど犯人の手の形とツメでえぐれた頬の傷が・・・
鏡を見て色んな事が頭をよぎりました。
こんな顔で仕事に行けるのか？会社に行けるのか？って。
ここから出てアパートに帰れるのか？また襲われたりしないのか？
刑事さんにお願いして実家に帰してもらいました。それは朝５時頃になっていました。
母はナグサメの言葉ではなく、叱るだけでした。
「お前に隙があるからだ。夜中に出歩くからだ。」と。
確かにそうだね、母さん・・・でもさ・・・
それからは夜中出歩いていません。常に後ろを意識するようになりました。
きっと一生私にあの恐怖はつきまとうのでしょうね。
今は色んな犯罪が後を断ちません。軽はずみな行動に私から警告させてもらいます。
出会い系サイトとかナンパとかありますが見ず知らずの人と会うのです。
警戒して会って欲しい・・・単独行動はやめたほうが良いと私は思う・・・
まだ犯人は捕まっていません。まだあの路地をウロウロしているのかも。