４年前の寒い冬。大雪が降った数日後の事でした・・・
その頃私はブラックメタリックのスポーツタイプの車に乗っていました。
夜中、コンビニに行ったり、レンタルショップに行ったりといつも車を利用していました。
金曜日の夜中１時ごろいつものように車でコンビニに出掛けたのです。
明日食べるパンを買い、車を走らせてアパートの近くの駐車場に置きました。
アパートまでは歩いて２分位で帰れる距離。たった２分・・・
道は雪が凍って滑りやすくなっていました。下を見ながらテクテク歩いていました。
デコボコしていたのでふと足を止め、足場の良い所に足を移そうとしたその時、
「ミシ、ミシ・・・」と音がしたのです。
「なんで？私はまだ歩いていないのに・・・どうして氷がきしむ音がするの？」と思いました。
そしてある事に気付いたのです。「誰か私の後ろにいる・・・」
そう気付き、後ろを振り向いた時、「うぅぅぅぅ！！！」と言いながら
男が突進して来たのです。
「え！ウソ・・・誰！」
私の頭は混乱しました。そう思った瞬間！
男は私の背後に周り、口を押さえ、腕を脇にまわし押さえつけたのです。
あまりにも強く口を押さえられたので私は息が出来ませんでした。
「息が・・・出来ない！！このままじゃ私、窒息して死んじゃう！」
口を押さえている指をなんとかどかし、「息が出来ない！死んじゃう！」と訴えました。
息が出来るようになって頭を回転させました。小学生の時のあの事件の事が頭をよぎりながら・・・
「このままではどこかに拉致される・・・」
とりあえず私は、その場にじゃがみこみました。人形のように座ったのです。
太ももまでピッタリとデコボコとした氷の上に着くように・・・なぜそうしたのか・・・
立ったままでは引きずられながらも車とかに連れて行かされそうだったからです。
座ってしまえば、この雪が凍った泥水のような上を引きずるのは大変だろうと考えたのです。
そして男の手が私の口を離れた瞬間、私は叫びました。
「助けて〜！！殺される！！助けて〜！！」喉が張り裂ける程に声を出しました。
誰かに気付いて欲しかったから。
そして男は耳元で言ったのです。「静かにしろ・・・これが見えないのか・・・」
そう言ってチラつかせたのは、大きなナイフでした。
そのナイフを見た時、私は下をうつむきながら、「フッ！」と笑ってしまったのです。
それは心の中でこう考えたから・・・
「何を言っているんだコイツは・・・
お前に何かされて一生台無しにする位なら、ここでそのナイフに刺されて死んだ方が
私はマシなんだよ、バーカ！」
そう思った瞬間、私はまた叫んだのです。「助けて〜！！殺される！！助けて〜！！」
喉が張り裂ける程に！！