登校班が一緒なのでヒロちゃんに話した。そして手紙を先生に手渡した。
先生はみけんにシワをよせていた。次の日になって校長室に呼ばれた。
そこには知らないおじさん達と校長先生が居た。机にはたくさんのアルバム・・・
「この中に犯人はいるかい？」と言われた。
それは、林の近くの中学校や高校の卒業アルバムだった。
あの犯人は私には高校生か中学生に見えたとお母さんに言ったからだ。
おじさんたちは刑事さんだった。
私にはアルバムを見ても分からなかった。あまりにもたくさんありすぎて、全部が犯人に見えてしまったのだ。
翌日刑事さんが来た。台所の小さなテーブルに座り、事件の事を思い出して欲しいと言った。
「何があったんだい？どうして逃げてこれたの？」と優しく聞いてくれた。
手振り身振りで一生懸命答えた。「でね、お母さんが来た！って言ったの、そしたら逃げちゃったぁ。」と
話すと、頭をなでながら、「よく言ったね。頭の良い子だ。」と誉めてくれた。嬉しかった。
何日かしてヒロちゃんと一緒に警察署に連れて行かれた。
初めて乗った覆面パト。ぼろっちぃ白い無線機がついていた。ドラマのとは程遠い・・・
タクシーみたいに色んな声が飛び交っていた。
警察署に着くと、小さな小部屋に通された。暗い部屋だった。そこには私達以外に
もう一人女の子が居た。その子も被害にあったらしい。飼い犬と一緒に散歩している時
だったんだって。犬は飛び掛って女の子を守ろうとしたらしいが刺されて死んじゃったらしい・・・・
暗い小部屋の高いところに小窓があった。最初は何かわからなかった。
見知らぬ女の子が先にその小窓を覗いた。首を横に振って「分かんない。」と
答えていた。次にヒロちゃんが覗いた。また同じだった。横を首に振った。
次は私の番だった。
「ひっ！」心臓が止まりそうだった。
だって、覗いたそこには、あの時の男が目の前に立っているんだもの！
私の顔は歪んで引きつっていたに違いない・・・
「あの人！あの人だ！」を私は顔を紅潮させて言った。
ちゃんと警察は捕まえてくれたのです。あの男を！
刑事さんは私の頭をなでて出て行きました。
その後は覚えていない・・・
小学校６年生になってから私はまた「ひっ！」と心が歪んだ。
だって、３年前に見たあの男が友達の家の近くで遊んでいるんだもん。
でも３年も経っているのに・・・なんで同じなんだ？
友達に、「ねぇ、あの人にお兄さん居ない？」って聞いてみた。
「家出して帰ってこないみたいだよ。」という答えだった。
少年院に入っているという噂を耳にしたがどうなったのだろうか・・・